腕時計にシリコンパーツってどうなの?これからはシリコンパーツが主流になるかも知れない⁈

時計全般
kevin
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kevinです。最近腕時計界隈でよく聞かれるシリコン製のパーツについて。

ここ数年腕時計の部品にシリコンが使われることが多くなってきています。

機械式時計の醍醐味は職人さんが手間暇かけて作り上げて調整していく金属製のパーツにあると個人的には思っているので、シリコンパーツが普及するのは少し寂しく感じています。

とはいえ、これからますますシリコンパーツが主流になっていくと思っています。

シリコンが腕時計の部品として広く世間に知られたのはここ10年くらいと最近の事なのですが、元を辿ると2001年に「フリーク」というコレクションにおいてユリス・ナルダンが発表したことからその歴史は始まります。

シリコンの普及が広まった今日では、オメガのマスターコアクシャルを始め、ボーム&メルシエ、ロレックス、カルティエ、ロンジン、ティソ、ブレゲ、パテックフィリップなど錚々(そうそう)たるブランドがシリコン製の部品を製造し、腕時計のムーブメントの部品に採用しています。

シリコンパーツの開発の裏にはCSEMの存在が大きい

クォ―ツショックによりスイスの時計産業が危機に陥ったときに、時計産業・ニューシャテル大学・政府の連携によって1984年CSEMという研究所が設立されました。

正式名称は「Swiss Center  for Electronics and Micro technology 」です。

マイクロ・システムの研究を行い数々のベンチャーを産み出している先進的な研究所です。

このCSEMにパテックフィリップ・スウォッチグループ・ロレックスが資金提供して開発されたのがシリコン・ベース素材のSilinvarです。

パテックフィリップはこのSilinvarを使って、ヒゲゼンマイ・Spiromaxと脱進機(ガンギ車とアンクル)・Pulsomaxを開発します。

パテックフィリップは180年以上の歴史を誇りますが、金属だけにこだわらずシリコンという新素材を利用するなど革新的な技術開発を行う先進的なブランドなのです。

パテックフィリップに限らず、シリコン製のパーツの開発にはスウォッチグループもロレックスもCSEMと協力しています。

いまや、スイスの時計産業界にとってCSEMなくしては新技術の開発はないと言えます。

シリコンパーツのメリット

シリコンパーツを使った腕時計は各ブランドが莫大な研究費用を出し開発したまさに最先端の技術です。

金属パーツのみで作られた腕時計も魅力的ですが、世界最先端の技術が詰まったシリコン製のパーツもまた見方によってはとても魅力なのです。

シリコンパーツは素材特性から脱進機に使われることが多く、ひげゼンマイにも用いられています。

シリコンパーツは折り曲げ強度があり、金属よりも軽量で、摩擦係数も少なく、世界中から産出されるていることから時計産業でも急速に普及していきました。

特に摩擦係数の少なさというのはとても重要です。

針を動かしている歯車という部品は通常は金属で製作されていますが、金属部分の噛み合わせ部分には油を塗って潤滑しながら使用されています。

この「油を塗る」というのは摩擦係数を少なくし、円滑に時間を表示するために必要なことです。

この油を差すことによって調速機構もしっかりと動作します。

しかし弊害もあります。

油は乾きますので、経年により規定の量の潤滑油が無くなると動きが鈍くなったり、金属同士が触れ合っている部分の金属粉と古くなってベタベタになった潤滑油が一緒になり動きを阻害するようになります。

その状況になると円滑に動いていた調速機構や歯車はより強いトルクがなければ動けなくなり、時間の遅れや止まりといった症状が出るようになります。

それを解決するために必要な作業がオーバーホールです。

すべての部品をばらばらにし、シャンピングを行って清掃をし、最後に組み立て、注油、精度調整を行い正常に動けるようにしていきます。

オーバーホールは3~5年おきに必要となります。

この何年というのは油が正常に潤滑できる期間でもあります。

しかし、この重要な部分をシリコンで製作することによって、その摩擦係数の少なさから潤滑油がなくても長い間精度を保って動かし続けられるようになったのです。

ちょっと語弊はありますが、簡単に言うと車やバイクのエンジンにオイルを入れなくても良くなったのと同じことなんです(全てではなく一部では、ドライ方式のオイルを使っているシリコン製部品もありますが…。)

シリコンパーツのデメリット

シリコンパーツにも当然ネガティブ要素もあります。

硬いので衝撃に対して弱いのです。

また、大量生産しないとコストが合わないなどがデメリットとして挙げられます。

ただ、以前はひげゼンマイなどの複雑な部品は作ることが出来なかったのですが、今現在は大量生産の恩恵によりかなり難しい造形も製作できるようになっています。

ゼニスのDefyLabの登場によりシリコンパーツの研究は加速する⁈

ゼニスが世界限定10本で製作したデファイ・ラボの登場により金属よりもシリコンを使った部品がメインの腕時計が増えるかも知れません。

このデファイ・ラボはクリスチャンホイヘンスが振り子の等時性を発見してから原理的に300年間同じ調速機が使われてきた腕時計業界に衝撃をもたらしました。

なんと調速機能などを丸ごと機構として内包した、たった一枚のシリコン製パーツであるオシレーターと呼ばれる機関を学者の見地からアプローチし、製作することに成功しました。

振動数の高さこそがが高精度の証でもあるという見地を持つゼニスに有って通常の機械式時計の
ムーブメントが比にならないほどの非常に高振動で時間を刻ませる事が可能なオシレーターは精度を安定させ大量生産が出来るのです。

しかも調整は緩急針のような部品のみで行えばすぐに実用可能域まで精度が出るという夢のような商品です。

原理的な部分においてはよく分からないですが、ただ一言、「これはすごいっ!」と思いました。

コンテンポラリーにも程があります。

実用化され販売する可能性もあるみたいなのでこれからが楽しみです。

まとめ

シリコンパーツの登場によって将来的にオーバーホールのいらない腕時計が登場するかもしれません。

シリコンだけでなく、オイルなども非常に良い物が今現在では作られていますが、そういった新しい側面から、精度がズレにくく、安定した精度を長期間維持できるようになって来ましたので、長期保証や、オーバーホール料金が安いなどといったユーザーとしては非常に嬉しい恩恵を得ることができます。

腕時計業界はメンテナンスフリーを目指し、新しい世紀に突入したと言っても過言ではありません。

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