ロレックスがトップ腕時計ブランドである理由

ロレックス

kevinです。

ロレックスが日本で人気な理由について、以前記事にしましたが、今回はロレックスが世界的に有名になり、世界トップクラスである理由についてまとめました。

ロレックスは、ハンス・ウイルスドルフによって創業され、今はハンス・ウイルスドルフ財団によって運営されています。

その創業者のハンス・ウイルスドルフは時計職人ではなく、時計卸売商ウイルスドルフ&デイビス社という会社をイギリスで起こした実業家です。

今でいうなら、カール・F・ブヘラを想像してもらえれば分かりやすいかもしれません。

スイスの有名な老舗時計ブランドは基本的には時計職人が創業したブランドがほとんどです。

創業者の時計製造の技術力の高さが評価されることがほとんどの中で、時計販売会社としてスタートしたロレックスが世界中で熱烈に支持され、その技術力が賞賛されているのは驚くべきことだと思います。

そのロレックスが時計製造会社へ華麗な転身を遂げ、世界で認められた理由に迫ってみようと思います。

ロレックスの偉大な3大発明

二枚貝のような気密性をもつオイスターケース

ロレックスのケースですが、“オイスター”ケースと言いまして、現在では、防水性能を求めるときのセオリーでもある、裏蓋をネジを切って止めるスクリューバック方式で、牡蠣の殻のように堅牢な防水機能を持ったケースとして名付けられました。

これに関しては、発明したというより、オイスター社を買収して自分のモノにしてしまったのです。

この頑強なケースとねじ込み式のリューズを使うことにより、ほとんどのロレックス製品は100mの防水性能を保持しており、防水検査の際には100mの防水性能に対して、1.5倍くらいの圧力を掛けます。

それまでの時計業界では、非防水が普通で、ケースは水気に弱いものという認識を大きく変えた発明でした。

 

余談ですが、2008年に誕生した一番防水性能の高いシードゥエラーディープシーでは、3900m防水を誇ります。

防水試験では、実に4250mもの圧力を掛けるのですが、加圧に1時間、減圧に1時間ほども掛けて行います。

 

また、オイスターの宣伝戦略も上手でした。

特許を取得した独自の水槽にオイスターを入れて展示したり、女優を起用したりして、オイスターを認知させていきます。

今では当たり前のPR方法かも知れませんが、1920年代において、恐らく割と派手めな宣伝戦略だったのではないかなと思います。

また、今日では著名なブランドであるパネライのムーブメントと防水ケースを協力して作成したのもロレックスでした。

ハンス・ウイルスドルフは本当に商才に長けた人物だったのだと思います。

 

 

デイトジャスト

腕時計に日付表示機能を付けたのはロレックスが初めてです。

それまでの時計業界において、日付表示になぜ誰も着目しなかったのかは謎ですが、ハンス・ウイルスドルフは腕時計における日付表示の重要性に着目し、会社設立40周年の節目に、“デイトジャスト”を発表します。

3時位置に日付を表示したデザインも、70年経った今も、ロレックスを含め、この位置にこだわっているブランドは沢山見受けられます。

この3時位置は偶発的なものではなく、きちんと計算されたデザインでした。

基本的に腕時計は左手に着けられるものですから、袖から出た時に最初に日付が見えるように設計されているのです。

シャッターデイトと言う機構なので、日付が変わるときにゆっくり変わるのではなく、バネの力を使って、一気にカシャっと日付を切り替える機構です。

 

 

ロレックス・パーぺチュアル

要は、ロレックスが開発した自動巻き上げ機構のことです。

ブレゲが発明したペルペチュアルのように、懐中時計にも自動巻きはありましたし、それまでも腕時計にも自動巻きは存在していました。

スイスの偉大な時計師ペルレも1777年に自動巻き機構を発明しています。

また、腕時計に搭載する自動巻き機構は、イギリスの時計職人ジョン・ハーウッドが1922年に発明しています。

これは半回転式のローターを搭載していました。

ハーウッドの自動巻き機構はスイスのフォルティスから発売されましたが、どうやらあまり売れなかったようです。

ちなみに、リューズはなかったそうです。

リューズなしって、超画期的なデザインですよね。

ロレックスがパーペチュアルという自動巻き機構を発明するのは1931年になります。

ロレックスの自動巻き機構の特徴は、ハーウッドのとは違い、全回転式ローターを搭載しているということです。

片方向巻き上げのローターはごくわずかな腕の振りで反応してくれます。

また、独立したモジュール機構なので、オーバーホールのときに、ムーブメントを完全に分解しなくて良いのも素晴らしい設計です。

ちなみに、ローターを取り付けることにより厚みが増したことから、ケースが膨らんでいたので、「バブルバック」という愛称も産まれます。

ロレックスのアンティークを選ぶときに、このバブルバックを探している方も多いのではないでしょうか。

 

 

その他の特筆すべきロレックスの技術

ロレックスには3大発明と呼ばれるもの以外にも、素晴らしい技術がたくさん存在します。

風防ガラスの日付の部分に凸レンズを付けることによって、日付表示を大きく見せるサイクロップレンズというものがあります。

倍率はおおむね2.5倍で設定されています。

昔はロレックスの3大発明と言えば、パーペチュアルではなく、サイクロップレンズが取り上げられていたこともあります。

ちなみに、この発明は視力の弱かったハンス・ウイルスドルフの奥さんのために考えられたそうです。

さらに、

・リングロックシステム
オイスターケースを進化させた驚異の3900mの防水強化ケース

・クロマライト
最長11時間も光る青色の夜光塗料

・パラフレックスショックアブソーバー
ムーブメントの耐震装置を従来の耐震バネから50%も耐衝撃性能を上げた

・青色のパラクロムひげゼンマイ
ニオブとハフニウムなどの合金で作られた強度が通常の10倍もある

・グライドロッククラスプ
サブマリーナなどに採用されているブレスレットのサイズ調整が簡単に出来る

 

など、どんどん機能を進化させています。

他者に先駆けて、新しい発明をしても、慢心する事なく、改良を重ねる点がロレックスの一番の強みなのかも知れません。

 

 

腕時計に着目した先見の明

ロレックスが世界に認められた理由の一番は3大発明かも知れませんが、それらを産み出せたのは、創業者のハンス・ウイルスドルフが最初から懐中時計ではなく、腕時計に注力したからだと思います。

ロレックスの前身であるウイルスドルフ&デイビス社が創業された時代は、まだ懐中時計が市場の大半を占めていた時代で、軍用時計や女性用の時計が着目され始めた頃です。

 

腕時計に着目したハンス・ウイルスドルフは、11リーニュのレバー脱進機を搭載した腕時計を初めて量産した会社と言われている「エグラー社」という時計製造会社と取引します。

エグラー社製の腕時計は良く売れ、その後、ウイルスドルフ&デイビス社との蜜月な関係が続きます。

ハンス・ウイルスドルフは、精度の高さを求めて、自身のアイデアをエグラー社に提案し、ムーブメントは進化を遂げていきます。

そして、エグラー社はロレックスのムーブメントを製造する「ビエンヌのロレックス」として発展していくことになります。

ちなみに、ハンス・ウイルスドルフが設立したロレックスは「ジュネーブのロレックス」と言われています。

 

2004年にこの両社は統合されています。

 

 

 

インパクトのあるエピソードが豊富なのも魅力

ドーバー海峡とロレックス

まずは、ドーバー海峡を横断した女性メルセデス・グライツさんがロレックスのオイスターを身に着けていたことが挙げられます。

約15時間も泳いでいたにも関わらず、ロレックスのオイスターは完璧に機能し続けていました。

 

 

デイトナ・サーキット場とロレックス

次に、1935年にマルコム・キャンベル卿が時速484.6キロという自動車世界最速記録を樹立したときも、オイスターを装着していました。

そして、ロレックスのデイトナに由来するアメリカのサーキット、デイトナ・インターナショナル・スピードウェイにて531キロで記録を更新させます。

 

 

エベレストとロレックス

そして、一番有名なエピソードは、やはり、1953年にエベレスト初登頂に成功したエドモンド・ヒラリー卿ではないでしょうか。

人類初のエベレスト登頂を成し遂げたエドモンド・ヒラリーとシェルパのテンジン・ノルゲイがロレックスのオイスターパーペチュアルを着けていたと言われています。

ロレックスがこのエベレスト登山隊にオイスターパーペチュアル(Ref.6098、6150)を提供しました。

ただ、シェルパのテンジン・ノルゲイが着けていたのは、スイス人登山家レイモンド・ランベールが贈ったものですが。

しかも、エドモンド・ヒラリーが登頂したときに実際着けていたのは、ロレックスのではなく、イギリスのスミス社製とも言われていますが、今も謎のままです。

また、余談ですが、エドモンド・ヒラリーは「なぜ、エベレストに登るのか?」という問いに対して、「そこにエベレストがあるから」と答えた人物と思われがちですが、その名言を産み出したのはエベレストの山頂付近で行方不明になったジョージ・マロリーの言葉です。

 

 

他にもロレックスのエピソードはたくさんあります。

 

他のエピソード

 

深海潜水艦トリエステ号が深さ1万908メートルの潜水に1960年に成功したときも、トリエステ号の船外にロレックスの時計が装備されていた話などもあります。

宇宙はオメガやブローバに負けてしまいましたが、それ以外の人類が冒険し偉業を達成したときには、常にロレックスが存在していました。

ロレックスの宣伝戦略の一環なのでしょうが、偉業のそばにロレックスがあるというのはインパクト大きいです。

そして、その偉業に耐えうるべく、精度も機能も高めているロレックスだからこそ、成し遂げられたPR戦略とも言えます。

 

 

特許を取得し市場を独占

ロレックスの発展において、私個人が特に着目しているのは、ロレックスが発明したモノに対して、特許をきちんと取得していたことです。

正直、オイスターもパーペチュアルもロレックスの純粋な発明品とは言えません。

しかし、パーペチュアルは完璧に特許を取得したおかげで、その後15年間、他のメーカーはこの革新的な自動巻き機構を自社の腕時計に搭載することが出来なかったです。

そうなるともう、世間が「自動巻き機構と言えばロレックス」となるのは必然ですよね。

専門家でなければ、ロレックスが初めて自動巻き機構そのものを発明したと思ってしまうでしょうし。

ちなみに、今でも腕時計関連の雑誌を読んでると、ロレックスが初めて自動巻き機構を発明したように書かれていたりします。

だから、ペルレやブレゲの話を聞くと、混乱してしまいます。うちの奥さんもこの話をしたら混乱してました(笑)

きちんと特許を取得し宣伝したからこそ、時計卸売商からスタートし、20世紀初頭に設立された後発ブランドにも関わらず、世界的な時計ブランドになったんだなと思っています。

スウォッチグループのニコラス・G・ハイエックが登場してきて、老舗時計ブランドは会社らしくなっていく中で、ロレックスは特許から宣伝戦略の仕方まで、創業当時から近代企業だったのはやはりスゴイことだなと思ってしまいます。

 

 

まとめ

オイスター・日付表示・パーペチュアルという世界が驚く画期的な発明と、人々の記憶に残る宣伝戦略が、ロレックスの名前を広め、良いイメージを構築することに成功したと言えます。

そして、数千円から高級腕時計まで、ロレックスの三大発明三大発明を模倣したデザインの腕時計がたくさん存在していることが、ロレックスの技術力の高さとデザイン力が優れていることの証明なのです。

懐中時計を模倣したものではない、腕時計そのもののデザインの方向性を示したブランドと言えるのです。

だから、ロレックスを選ぶという事は、何かの模倣ではなく、オリジナルを選ぶということになるのではないでしょうか。

そして、何より“実用時計”というものを産み出し一般市民にも腕時計を普及させただけでなく、今の腕時計の使い勝手が良いのはロレックスの功績なのです