復活した真のマニファクチュールブランドのH.モーザー

H・モーザー

kevinです。

皆さんはH・モーザーをご存知でしょうか?

H・モーザーの歴史と魅力についてまとめてみました。

H・モーザーの創業について

創業ドイツ国境に近い、スイス・シャフハウゼン出身の時計士であるヨハン・ハインリッヒ・モーザーにより、1828年にロシアのサンクトペテルブルクで創業されたブランドです。

帝政ロシア時代にも珍重され、中央アジアや極東の国々にまで販路を開き、莫大な富を持ったモーザーは故郷のシャフハウゼンに水力発電所、鉄道、公園などを作るなど貢献し、時計以外のビジネスでも成功を収めています。

1828年と言えば、シーボルト事件が発生した年で、日本では江戸時代後期にあたり、ロンドンに世界で初の科学動物園が出来上がった年で、西郷隆盛やジュール・ベルヌが産まれた年でもあります。

その後、ハインリヒ・モーザーが亡くなった後、会社は売却され、クォーツショックなどの時代の波の中で一度は消えてしまいます。

 

 

2005年にマニュファクチュールとして復活します。

彼の生誕200周年を迎えた2005年に、マニュファクチュールとして復活を果たします。

ハリーウィンストンのオーパス7の開発などで、時計師としても非常に有名であったアンドレアス・ストレイラーと、IWCでかつてテクニカルディレクターを務めていたユルゲン・ランゲ博士の有志によって、創業家一族であるロジャー・ニコラス・バルジガーの協力を得て、バーゼルワールドで復活しました。

この時、ストレイラーとランゲ博士は4種類のオリジナルムーブメントを発表して注目を集めます。

 

 

世界を驚かした技術と魅力的なコレクションについて

H・モーザーは実は数少ないマニュファクチュールで、様々な技術開発をしています。

まず、「ダブル・プル・クラウン」という機構は、リュウズを引き出すと、確実に1段目で一度止まり、その後もう一度引くと2段目に引き出せるという機構です。

そして、「インターチェンジャブル・エスケープメント」という独立したプレートに脱進機を取り付けた画期的な機構により、脱進機のメンテナンスを容易にしたり、フラッシュカレンダーと呼ばれる永久カレンダーであるにも関わらず、日付をリュウズにより巻き戻せる機構などを発明しました。

さらに、「シュトラウマン・ヘアスプリング」というひげゼンマイを開発します。

それぞれのモデルの仕様に合わせて作られ、その許容誤差は1万分の1ミリという途方もない精度で製作されています。

ムーブメントを完全に自社製造できる非常に珍しいメーカーです。

また、「パワーリザーブ」がすべてのモデルで3日以上最長7日間というロングパワーリザーブを誇り、全てのモデルにパワーリザーブメーターが付いています。

全てのモデルにおいて汎用ムーブメントの仕様はなく、見やすさと使いやすさを求め、シンプルな佇まいの中にも工夫と拘った仕様というのがH・モーザーにおける真価になります。

つまり、別記事にて書きましたが、世界でも数少ない「ひげゼンマイ(へアスプリング)」を自社で製造している希少なメーカーなのです。

裏蓋から見えるムーブメントは丁寧に仕上げが施されており、非常に綺麗です。また、文字盤も非常に味のある造りをしており、「フュメ」と呼ばれるグラデーション文字盤は、1度見て頂くとその美しさは特筆すべきものであることがお分かりいただけると思います。

 

 

24の魅力的なコレクション

そして、そのコレクションは創業者ヨハン・ハインリッヒ・モーザーの功績に敬意を表し、彼の生き様を表した「エンデバー」「ベンチャー」「パイオニア」という3本の柱となるシリーズに全部で24のコレクションとなります。


部品をすべて自社で製造している数少ない真の意味でのマニュファクチュールなので、年間製作本数がわずか1,000本余りしかありません。

価格は最も安いモデルであるエンデバースモールセコンドで、この記事を書いている2015年12月現在で新品で216万円と決して安くはありませんし、時計雑誌でも中々注目されることのないブランドですが、その製造過程におけるコダワリを知ってしまうと、時計好きなら持ってみたい時計であるのは間違いないでしょう。