
こんにちは。明けましておめでとうございます。
今回は「コスモノート」について語ります。
ブライトリングのコスモノートは大好きな時計の一つです。
とても素晴らしい時計なのでたくさんの方に知って欲しいのです。
コスモノートはナビタイマーの派生モデル
ブライトリングのアイコンとしてクロノマットとともに、1952年より現在に渡って君臨し続けるナビタイマーの派生モデルとして登場するのがコスモノートです。
ナビタイマーってなに?
ブライトリングは1942年「クロノマット」をイタリアのフレッチェトリコローリと共同開発し発売しヒットさせます。
そのブライトリングがアメリカにおける販売戦略の一つとして新しい時計を開発して1952年に投入し、またもや大ヒットに導いたのが「ナビタイマー」というモデルです。
第2次世界大戦当時に普及し現在でも使用され、パイロットが対数を利用して誰でも簡単に計算が出来るダルトン式航空計算尺「E-6B」という円盤型のフライトコンピューターがあります。
その頃は電卓が無かったので、この計算尺「E-6B」をメインに使用して、到着地までの所要時間や飛行速度の計算などを目盛りを合わせるだけで計算しました。
とても便利で画期的なものだったので航空業界に普及していきました。
電卓が普及した1970年代に一般的な計算尺は姿を消していきますが、実は航空業界では今もライセンス取得の際に教えられて実際に使われていたりもします。
機械を使わずに手で目盛りを合わせるだけで使えるので電池切れや機械が壊れ間違った計算をしてしまう事がないというのがその理由なのです。
そのダルトン式航空計算尺「E-6B」を改良して小型化し搭載したパイロットウォッチがナビタイマーです。
アメリカの「AOPA」(Aircraft Owners and Pilots Association)というパイロット協会(1939年に設立され本部はアメリカにあり、今では世界68の国で展開され、日本でも1965年より日本オーナーパイロット協会として存在しています)の公式採用を受け、アビエーションウォッチ(航空時計)の第一人者となったブライトリングの金字塔モデルです。
ちなみにナビタイマーという名前は「ナビゲーション」と「タイマー」を合わせた造語です。
コスモノートの誕生
ナビタイマーの派生モデルであるコスモノートは、宇宙開発競争の中から産み出されていきます。
宇宙開発競争の歴史は、ソ連とアメリカによる宇宙開発競争の幕開けである1957年スプートニク1号という人工衛星を当時のソ連が宇宙空間に打ちあげたことにより始まります。
1958年7月29日NASAが発足し、1959年よりマーキュリー計画が始動し7名のパイロットが従事します。
そんな中、ソ連では1961年4月にユーリ・ガガーリンがボストーク1号に搭乗し地球を一周に成功します。
スコット・カーペンター少佐の依頼
その後アメリカが衛星軌道上を初めて3周回りソ連に追いついたのが1962年2月20日ジョン・グレン大佐が「マーキュリー・アトラス6号」に搭乗し達成しますが、その際には腕時計ではなくタグ・ホイヤーのストップウォッチを腕に巻いていました。
NASAの訓練を受けていたスコット・カーペンター少佐が、オーストラリアでの訓練の際に別のパイロットが腕に着けていたナビタイマーを見て気に入り、ブライトリングに製作の打診が入ります。
その際のオーダーは、漆黒に包まれた宇宙では昼夜の区別がなく午前と午後の判別が難しいため24時間の表示が出来る時計を作って欲しいというものでした。
当時の創業家3代目社長のウイリー・ブライトリングは快諾し1961年に24時間表示のスペーストラベルウォッチとしてナビタイマーの試作品を製作します。
1961年6月にはスイスにて「ナビタイマー・コスモノート」名が商標登録されました。
1962年5月21日スコット・カーペンター少佐にコスモノートは送り届けられます。
そして1962年5月24日に、スコット・カーペンター空軍少佐が「マーキュリー・アトラス7号」(オーロラ7)で地球を衛星軌道上で3周する際に装着した世界初の腕時計が「ナビタイマー・コスモノート」なのです!
アメリカで2人目の地球周回飛行者となったスコット・カーペンター少佐を支えたコスモノートは、その4時間56分15秒に及ぶミッションを左腕で正確に刻んだのです。
その後スコット・カーペンター少佐は生還したのですが、手巻きで非防水のコスモノートは着陸が海であったために浸水し故障してしまいます。
ブライトリングにて修理されましたが、スコット・カーペンターの腕に戻ることはありませんでした。
コスモノートの市販化
1962年中にはスコット・カーペンター少佐の偉業を称えナビタイマー・コスモノートRef.809が市販化されています。
ですが、文字盤に「ナビタイマー」と「コスモノート」あるいはその両方が表記されているなど中々に混迷を極めます。
デザインの変遷
当初オールブラックだった文字盤は1963年からインダイヤルがシルバーの反転色となり視認性を高め、パール装飾ベゼルも次第に今のデザインに変わっていきます。
ムーブメントは手巻きヴィーナス178をべースに24時間表示用に歯車機構を改良していました。
1967年にバルジュー7736搭載モデルも少数生産され非常に希少価値を高めています。
1969年には自動巻きクロノグラフムーブメントを搭載した「コスモノート・クロノマチック」も誕生するなど派生モデルも生まれています。
1980年代になりコスモノートは手巻きムーブメントで復活します。
1992年には名前をコスモノートⅡと変えますが、1994年にコスモノートに戻ります。
2001年にフライバック機構とデイト表示を備えた自動巻きになります。
インダイヤルの表示も手巻きと自動巻きでは秒針の箇所が違います。
マニアの方は文字盤の配置を見るだけで自動巻きか手巻きかを見分けられると思います。
そして2000年に、役目を終え生産を終了し通常のラインナップから現在は姿を消します。
ですが最近では、2012年にコスモノートは12年振りに手巻きで限定モデルとして発売されたりしており、時々販売されては完売するということを繰り返すレアなモデルでもあります。
まさに通好みのこの一本です。
まとめ
使ってみての感想ですが、時間は良いんですが分針を合わせるのに最初は戸惑いました。
ナビタイマー譲りの7列のブレスレットは装着感が良く私のモデルは自動巻きモデルで大きさが42mmなので大きすぎずちょうどいいサイズ感です。
しかし文字盤のぎっしり感はスゴイです。
決して使い勝手が良いとは言いませんが、それ故に個性に溢れロマンあふれるこの時計を出会いがあれば手元に置いておくのも良いかも知れません。
コスモノートはオメガのスピードマスターと一緒で実は宇宙と関連の深い腕時計です。
宇宙や空が好きな方にオススメしたい1本です。
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